JA2012ネタそのいち

C-2/YCXの不整地運用について、ユーザーオプションとしての対応を検討しているとの話。
実は追加カバー等によって不整地運用能力を獲得した例が、旅客輸送機にあったりする。
それがBoeing737のUnpaved Strip Kitだ。
http://www.b737.org.uk/unpavedstripkit.htm
またここまで大きくないがMD-80系列の降着装置にも、同様のディフレクターが装備されている。
エアラインからの意見として不具合や重量増加要因となり得ると言われたのは、多分こんなのを付けた場合なんだろうと。
あとは脚部の可動部周りにカバーを付けたり等々、簡単に済ませるなら胴体の適当なところにひれ状のガードを生やすとか。

JA2012ネタそのに

制限Gが条件として併記されたことで、却って訳のわからないことになった重量関係について。
A400MだけでなくC-17やC-130Jでも最大離陸重量は2.25Gを条件としており、2.5Gでも同じということは無い。
ただしC-27Jは2.25Gでこそ違うが2.5Gと3.0Gでの最大離陸重量は同じとしており、ペイロードで差を付けている。
逆にKC-390は3段階の最大離陸重量を設定しているが、ペイロードは全て同じとしている。
C-2/YCXはおそらくC-27Jと同様のパターンで、2.25G制限ではペイロードの上限のみが変化すると考えられる。
大型双発機に見られる傾向として、主翼付け根に働く曲げモーメントが4発機に比べて大きいという特徴があるので、そこらへんが理由なんではないかなと。
最大離陸重量での"着陸"滑走路長については全くもって判らない。

謎の外国政府向け

鼻を啜りながらダラダラ纏めてたら飛び込んできたニュース。
http://www.jwing.com/w-daily/bn2013/0219.htm
実はこれ、ちゃんと前振りがある。
まず外国政府と言っているが、このクラスの規格外貨物機をチャーターでなく自前で整備する政府機関なんて空軍ぐらいである。
その上で最初に思ったのが人員輸送に関する機能はどうするのか、ということ。
YCXでは空挺降下以前に貨物室に人員を載せる機能をバッサリ切っているからだ。
その上更に物量投下機能や自機防御機能、編隊維持機能なども切られた純粋な規格外貨物機をどこの空軍が所望するのか?
それを示唆する資料がこれだ。
http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H24/121129_koukuuki/koukuu6-2.pdf
9ページの市場に関するコメントで、米軍の兵站輸送任務の民間委託で規格外貨物をロシア系エアラインに依存していることが指摘されている。
つまり人員を伴わない純粋な規格外貨物輸送の需要が、米空軍にはあるということなのだ。
米軍に限らずNATO諸国などIl-76やAn-124をチャーターする例は多く、2011年にはNATOがアフガンへの機材空輸にチャーターしたSilkWayAirlinesのIl-76が墜落する事故も起きていたりする。
現状ではコストと機材繰りの問題からチャーターしているが、安全保障上の懸念があることは想像に難くない。
然るに民間向けのコストパフォーマンスに優れた機材が売り込まれているとあって、空軍が自前での運用を考え出したのがニュースの背景にあるのであろう。
ちなみに同ページの他項目も読むと、アフリカでの運用に空中投下能力が欲しいだの馬と同乗するために貨物室への座席設定も考慮すべきだの、前述の疑問が更にカオスなことになるコメントも。
流石に最大ペイロードで太平洋ノンストップは無理があると思うよ?
他にも機内クレーン性能の設定経緯とか想定為替レートとか、見どころ盛り沢山な資料ではあるけど長くなって来たのでここまで。

最近の吊るしものネタ

さくっと確認できてるXP-1の搭載試験内容。
・短魚雷(97式?)in爆弾倉
・(20??)物量コンテナin爆弾倉
・AGM-65
・AGM-84
・ASM-1C
・整流覆付機雷(Mk.55?)
・整流覆無機雷(Mk.52?)
・AGM-84+ASM-1C混載(左右非対称)
・Mk.55?+Mk.52?混載(左右対称)
・機雷+ASM-1C/AGM-84混載(左右非対称)


機雷と対艦誘導弾の混載、しかも左右非対称という素敵極まる形態に超びっくり。
ついでに機雷の情報量に超うんざり、型番だけ判ったって形状が判らなきゃ特定できんがな。
とりあえずMk.52とMk.55ということになってるけど、これが91式や83式だったとしても驚かないぜ。
そいでもって機雷と対艦誘導弾を混載する意図を考えると、実にえぐいことを考えてるんだなあと思わざるを得ない。
爆弾倉にまでASM用パイロンを設定する理由も、多分そこらへんにあるんだろうなーっと。
ASMであってAGM-65でないのは、単純にレールランチャが使えないというだけで無しに、AGM-65を1ソーティで何発も使うのかという点もある。
機雷と一緒に使うシナリオであるならば、ASMの搭載量を増やす方向に傾くのも説明が付かなくもない訳だ。
あとまあ複合シーカで泊地攻撃能力を付与する研究、なんてのもやってるしね。


次いで「吊るしもの」ならぬ「吊るすもの」の話、よするにウェポンラック。
ウィングパイロン用にBRU-47が使われているのは従前より判っていたことだが、他にも以下のものが確認できている。
・BRU-12/A-1
・BRU-15/A-1
・BRU-47/A MOD2
・LAU-117(V)5/A
・MAU-12C/A MOD3


上二つはP-3C用にも調達されているもので、品目名称はボンブラック。
BRU-47はイジェクタ・ラックでMAU-12はエジェクタ・ラック、何が違うんだと言いたいがミスタイプかなにかだろう。
LAU-117がAGM-65用のレールランチャでこれだけ契約相手はRaytheon、他のはミネベアである。
この中でよく判らないのがBRU-15とMAU-12の二つだ。
前者はP-3Cの外部ステーション用らしいが、写真を見る限りにおいてP-1のウィングパイロンに付いてるのはBRU-47である。
別のパイロンが用意されているのか、あるいは爆弾倉用としての調達なのかのどちらかでしかないので迷うことは無いが。
謎なのが5,000ポンドにまで対応するMAU-12で、P-3Cの各ステーションが最大でも2,000ポンド機雷までしか対応してないことを考えると過剰としか言い様がない。
MAU-12自体はBRU-47同様に空自の戦闘機で使用されており、F-4及びF-15のドロップタンク用ウィングパイロンに使われている。
F-16のドロップタンク用ウィングパイロンもこれなのだが、F-2は見る限りBRU-47っぽい。
BRU-47自体はF-22やF-15Eのウィングパイロンにも使われているっぽいので、F-2でも同様の使い方をしているのは有り得る話だ。
が、そうなるとP-1にMAU-12とBRU-47の両方を用意している理由が全くもって謎である。
実は以前2,000ポンド以下だろうと思っていたBRU-47を調べなおしたところ、MAU-12と同じく5,000ポンド対応という資料が出てきたのだ。
F-15EのBRU-47はF-15C/DでMAU-12を使っていたところに入れ替わる形で使われており、両者を併用するという状況はいまいち浮かんでこない。
爆弾倉用か?と言うとさに非ず、23年度の調達実績から爆弾倉用にはBRU-47の方が調達されていることが判っている。
ここでそもそもMAU-12だろうがBRU-47だろうが、なんで5,000ポンドにまで対応させようとしているんだ?という疑問も生じてくる。
今のところXP-1で搭載試験をしている装備は全て、現用のP-3Cでも運用している(海自か米海軍かは問わず)ものでしかない。
となると航空集団は将来、現用装備より更に大重量の何かを固定翼哨戒機で運用することがあり得ると考えているのだろうか?
無論5,000ポンド目一杯使い切るような装備は航空集団や空自はおろか米軍でさえ限られているが、2,000ポンドを超える装備とて中々無いものだ。
あるいは対応重量以外の要素が理由であろうか?


幾つか資料が見つかったので爆弾倉周りだけモデリングして出力してみたの図。
p1bombay.jpg
上から順に

ASM用パイロンはどこぞの団体が基地見学で撮影した写真を載せてくれたので、キャリーストア共々大切に使わせて貰った次第。
まさか魚雷用や機雷用よりも先に見つかるとはね。
前後の余丁が少ないので普通に自由落下させると結構危ないかも。
魚雷用パイロンはDMUイメージとP-3用のを参考にモデリング
P-3用のパイロンを前後逆にしただけな感じ。
配置の都合上、GK520の様に10本も載せるのは無理。
機雷用パイロンはP-3用の資料、それもステーション配置図とBRU-14用パイロンの解説図しか無かったのでほぼP-3そのまま。
揺れ止めに至っては解説図すらなかったので、配置図とキャリーストア側の固定部からでっち上げるしか無かったという。