不思議の国の飛行機

電波・光波複合センサシステムの研究について軍研で軽く触れられていたが、研試用の空中線部については1mクラスのものを既存機の胴体下部にぶら下げる方向で

検討している様である。
胴体下部への取り付けは改造箇所が少なくて済むというのが理由で、対潜哨戒機用レーダシステムの研試ではUP-3Cの爆弾倉から正方形の空中線を文字通りぶら下

る形で取り付けている。
そんなわけで搭載母機にはP-1の飛行試験1号機が充てられるのではと当該記事では予想していたが、では装備開発段階へと進んだ時にP-1と胴体下部への空中線取

り付け方式は適切であるかどうか。
というのもP-1は主翼より前方の胴体長が一般的な旅客輸送機に比して短めであり、カヌー形の空中線フェアリングの設置には制約が加わるからだ。
主脚扉から前脚扉までの長さに渡って取り付ければおよそ9m程度のフェアリングが設置可能だが、このままでは横方向1/3程度が内挺エンジンナセルによって隠れ

てしまい、空中線の視界が横方向に大きく遮られてしまうことになる。
エンジンナセルより低い位置への拡張はそもそも地面とのクリアランスが足りず、横方向への視界を確保する位置まで下げれば脚下げ時の設置面を超えてしまう。
さて紅茶を一杯。


検討の結果こうなった。
http://www.heinkel.jp/images/p1jstars1.jpg
http://www.heinkel.jp/images/p1jstars2.jpg
地面に当たるなら引っ込めてしまえば良いのだ。
なお可動式空中線フェアリングについては、英国海軍のSeaKingAEWやソ連/ロシア海軍のKa-31およびYak-44といった先例が存在しており、決して奇想天外兵器の類

に属するような発想ではないことをここに言明しておく。
ちなみに光波センサが無いのはもともとP-1版のJ-STARSとしてモデリングしたものだからで、ファイル名もご覧の通り。
そもそも胴体下部への取り付けは自機より上方の空を見るのに向いた配置ではないのだ。

貧乏の国の飛行機

C-2飛行試験2号機の初飛行に先立って政府専用機退役前倒しなるニュースが入ってきたので、趣味人らしく代替機について妄想してみる。
まず定員は現用機の場合120人程度と言われており、うち40人が同行記者とされている。
従って同行記者を締め出した場合は80人程度が搭乗出来れば十分と考えることが出来よう。
この時点で客室定員が30人に満たないビジネスジェットの類は適さないと考えられる。
またMRJなど100席クラスのリージョナル機の様に、エコノミー混ぜてギリギリ80人乗れる機材というのも当然ながら不適当である。
次に航続距離であるが、たかだか数十年程度で日本列島の位置が劇的に変化した訳ではないので現用機に求められた水準が引き続き求められる。
すなわち太平洋を無給油で横断可能な航続距離で、およそ14,000km前後は今なお必要であると考えられる。
この要求は767でも達成できるか怪しく、737あたりではまず不可能である。
P-1改造型でも離陸重量のかなりの部分を燃料に充てなければ達成は困難であろう。
以上の2点のみで考えるならば、まともな部類の選択肢として残るのは777か787ということになる。
無論これ以外にも考慮すべき要素は多数ある。
もし双発機による洋上長距離飛行を認めないのであれば、上記2点を緩和しない限りだとA340A380か、結局は747かということになる。
航続距離要求を緩和するのであれば767やP-1改造型にも可能性が生じ得る。
更に突き進めて運用可能な空港数を増やすといった要求を加えると、今度はA380や747が確実に除外され、A340や777なども難しくなる。
運用コストという枷を嵌めても同じことで、突き詰めれば機体自体はダウンサイジングしつつそれなりの航続距離が求められるという傾向が予想されよう。
要するにA380だけは有り得ないということか。