ROにおけるユーザーイベントの現況と問題点


まずRagnarokOnlineにおけるユーザーイベントの定義から説明したいと思う。
「ユーザーイベント」とは広義にはゲーム内でユーザーが起こす行動であり、MMORPGではユーザーの挙動一つ一つが該当する。
会話、戦闘、攻城戦、といった具合にである。
狭義では、劇や歌、ツアーやオークションなどのユーザーが主催する催し物の類を指し示す。
そして大抵はこちらの意味で「ユーザーイベント」という言葉が用いられている。
これとは別に公式運営サイドが主催するものは「公式イベント」などと呼ばれている。
実のところ、ROのユーザーイベントは運営サイドからのサポートが実質全く無く、これがUOなどの他のMMORPGとの大きな違いとも言える。
そして、それがそのままROでのユーザーイベントの立ち位置を決定付けていると言っても良いだろう。
ゲームのシステム上でも規約上でも、ユーザーイベントはその存在や活動を保障されていないのだ。
狭義での「ユーザーイベント」とは即ち、運営サイドからは一切のサポートが無く、ゲームのシステムで想定されていない事をユーザー主催の元に行う催し物の事である。
以下特別に断りが無い限り、「ユーザーイベント」は狭義の意味で用いる。



さて、ユーザーイベントはROの中でどれほどの地位を占めているのだろうか。
一つの見方としては、既に在って当たり前の如く扱われているというもの。
もう一つの見方は、未だにROユーザー全体には知れ渡っておらず、マイノリティでしかないというもの。
私としては後者を支持する、というのも自らの関ってきたイベントの問題点が尽くその認知度の低さに起因するものであったからだ。
前者のそれは、戦闘をメインとした枝祭りや油祭りなどと呼ばれるものには当てはまるであろう。
だがゲームシステム上想定内である戦闘をメインとする催し物を、ユーザーイベントと括るのは無理がでてくる。
枝やアブラカタブラはゲームの仕様として既知のものであり、大抵のプレイヤーは傍目から見ても何をしているか判る。
しかしユーザーイベントはどうであろうか。
何も知らないプレイヤーが劇や歌を見て、説明も無しにそれがユーザーイベントであると理解出来るだろうか?
そもそも「ユーザーイベント」という言葉すら判らない者が大多数なのでは無いだろうか?
そして、一般プレイヤーのコンサンスが無いまま辛うじて行っているのが現状である。
事実そういった状況のままイベントを実行した事によって、過去幾度と無く軋轢が生じる場面があった。
これが前述した問題点の最たるものである。
イベントの規模如何にもよるが、大勢の参加者が集まるイベントは必然的にサーバーへの負荷を増大させる。
これはシステム上回避できない問題であり、ユーザーイベントには常に付いて回る問題でもある。
サーバーへの負荷自体はユーザーイベント以外の要因でも発生するが、ユーザーイベントがその存在を保証されていない事を思い出して欲しい。
本来であればユーザーイベント自体はROに必要な存在ではなく、一般プレイヤーの日常行動の阻害へと繋がるサーバーへの過負荷が許される理由を主催者側は持ち合わせていないのだ。
ユーザーイベントによるサーバーへの負荷が容認されるかどうかは、ひとえに一般プレイヤーの判断に拠る所が大きい。
つまり一般プレイヤーがユーザーイベントをROに必要な存在だと認めてくれるかどうか、自分たちの日常行動に制限が課されても実行を容認してくれるかが鍵となるのだ。
そこでユーザーイベントの主催者側が取るべき手段は単純にして明快、如何に自分たちが無害であり有益な存在であるかを実証し続ける事である。
重要なのは実証し続けるという事である、ただ宣伝文句に織り込むだけでは何の意味も無いからだ。
またユーザーイベントを無害で有益な存在たらしめるのは、如何に顧客を満足させるかと言うモノ創りの基本に他ならない。
そこには万人が満足し得るモノを目指し続ける姿勢と、顧客の不満を聞き漏らさず解消する努力が必要となる。
ではユーザーイベントが晴れてマイノリティから脱しメジャーな存在となった日に、主催者たちはそれらの努力を放棄いて良いのか?
答えは否、である。
一般プレイヤーの支持の元にのみ成り立つユーザーイベントが自らの立場を忘れて傲慢に振舞えば、顧客は容赦無く見放すであろう。



かつて客の事を忘れ己の自己顕示欲の為に街一つを三日間に渡って占有し続けた大きなイベントがあった。
主催者たちはイベント会場が荒れに荒れ、招かれたゲストや下請けのイベント団体が対応に追われる中、自分たちは関係無いと言わんばかりに客やゲスト等の抗議を無視した。
イベントが終わって当然、彼らのサイトには抗議や不満を訴える書き込みが殺到した。
だが主催者のリーダー格は己の責任を放棄し、言い訳染みた「レポート」を残して姿を眩ましてしまったのである。
では残された主催陣は何をしたのか?
何もしなかった。
いや、正確には自分たちでは何もしようとしなかったのである。
彼らはあろう事か、無関係な第三者に内部情報をリークして自分たちのリーダーを批判させ、自分たちの口で問題点を明らかにする事を拒否したのである。
そしてその第三者にリークされた情報と批判内容も、今や関係者と糾弾サイトを観覧した幾人かのローカルフォルダにしか存在しない。



自らの責任の下に問題を語ろうともせず、何の関係も無い人物にその責任を押し付けスケープゴートに仕立てる、果たしてこの様な態度をとる者たちのイベントを一般プレイヤーは容認するだろうか?
そこには万人を満足させようとする意志も顧客の声に誠実に応えようとする精神も感じ取れない。
残念ながら、これは数ある中のたった一つの事例に過ぎない。
大小様々な同様の事例によって、今日のユーザーイベントの立場は極めて低い存在となっていると言ってよい。
固定され限られた客にイベントを提供しているうちは世間の評価も問題とならないだろう、だがそうして殻に閉じ篭り続ける果てには先細りと消滅という最期しか残されていない。
現状に満足する限りユーザーイベントに発展も未来もあり得ない、主催側に居る者たちはそれを肝に銘じておくべきではなかろうか。