戦車不要論の是非

まず戦車扶養論とは

399 名無し三等兵 sage 04/10/14 10:18:31 ID:???
日本には根強い戦車扶養論というのがあるようですが、他の国では戦車は働いて、稼いでくれるのですか?


400 名無し三等兵 sage 04/10/14 12:34:38 ID:???
>>399
貧しいロシアを助けるため、戦車兄弟達が出稼ぎに出ています。

アフリカ、中東、アジア等で過酷な環境にもめげず、みんな元気に働いています。

時には兄弟同士が敵対することもあります。それでも涙も見せずに働いています。

アメリカはロシアの戦車兄弟達を馬鹿にしますけど、みんな黙々と働いています。

ロシアには出来のいい兄弟達がいます。
「出稼ぎに出てる兄弟達は出来が悪いんだよ。あんたたちはエリートなんだよ」と
おっかさんが言っていると聞いても、みんな必死に働いています。

一生帰る事の無い家のために、その身が朽ちるまで、みんなロシアの為に働いています。

401 名無し三等兵 sage 04/10/14 14:26:02 ID:???
>399
島国や半島国では割と良く聞く話だから、
やはり戦車というのは、
広い土地がないと働けない遊牧民のようなものではないでしょうか。


402 名無し三等兵 sage 04/10/14 16:24:54 ID:???
>>399
日本では「働かせるなら人型ロボット」という先入観が強いからね
戦車に働いてもらう事まで考えが回らない

人手不足になった未来社会を描いたアニメでも
「このガンダム(働くロボットの名前)が完成したら,中学生の子供達が
働きに出なくてもよくなる」というような話をしている

現実でも,老人介護にはアシモを代表とするような人型ロボの起用が
考えられているし,それがかわいいメイド型ロボなら俺でも欲しい
という香具師アキハバラで石を投げればかならず当たる程いる

そんなわけで,日本では戦車に養われるという考えは根付いていません

●笑心者歓迎<ネタ>スレ立てる前に此処で質問を20

という事である。


ああやめて石投げないで蹴らないで(つД`)




戦車不要論とは文字通りの意味で、第4次中東戦争でのイスラエル軍機甲部隊の壊滅に端を発する物と、最近の対ゲリラ戦や市街地戦では無用とする物に大別出来る。


前者はエジプト軍の対戦車ミサイルと対戦車ロケットによってイスラエル軍の戦車部隊が壊滅的な打撃を受けた物で、各国の軍事関係者にとっても衝撃的な事件と言われた。
これに前後する形で対戦車ミサイルが万能の如く語られ、事実戦後第二世代の主力戦車MBT*1)「レオパルドⅠ」「AMX-30」などは機動力に任せてミサイルの被弾を避けるという運用思想の元作られていた。
だが結局、対戦車ミサイル戦車砲にとって代わる事も無ければ、MBTというカテゴリーが消え去る事も無かった。
対戦車ミサイルはその原理上、着弾までの時間が長く、戦車砲のように徹甲弾を撃つ事も出来ないのだ。
また複合装甲の実用化によって、MBTに対する対戦車ミサイルの優位性は殆ど無くなったと言っても良い。
そもそも対戦車ミサイルの類は本来防御的な性格の兵器であり、装軌*2の足回りによって高い機動力を備えたMBTとは比べるべくも無いのだ。
対戦車ミサイルに高い機動性を与える唯一の方法はヘリや攻撃機に搭載する事であるが、高コストかつ長時間同一箇所に留まる事が出来ない以上、MBTの代わりとはなりえない。
ましてや装甲車*3ソフトスキン車両*4への搭載などというのは問題外である。
前述した通り対戦車ミサイルは着弾までの時間が長く、また発射プラットフォームが簡単に破壊されるような物では意味が無いのだ。
MBTが現在まで不要とされてこなかったのは
・長射程かつ高威力の砲
・陸戦兵器の中でも段違いの強固な前面装甲
・装軌の足回りと高トルクのエンジンによって装輪車両では不可能な高い機動力
・陸上兵器故の航空機には不可能な長時間の定点制圧性
これらを全て兼ね備えているからに他ならない。
各国で試みられた軽戦車が尽く失敗に終ったのは、この戦車たる条件を忘却し予算の都合だけで装甲や砲威力を削ってしまったからに他ならない。
装甲車と変わらぬ防御力*5では、兵員輸送能力の無い戦車である必要など全く無いのだ。
現在までに、上記の条件を満たした兵器はMBTを除いて存在した事は無く、またこれからも現れる事は無いと予想される。

もう一つの対ゲリラ戦や市街地戦についての論調は、国内では最近の北朝鮮の脅威に対するもので、戦車を討つための戦車はゲリコマ狩りには不要とするものである。
ここで少し頭を働かせて欲しいのは、自らがゲリラとなった時に歩兵と戦車、どちらがより脅威かという事である。
3000mの遠方から加害半径数メートルの対戦車榴弾を誤差10㎝前後の高精度で撃ってくる戦車と、有効射程1000mにも満たない歩兵の持つ小銃。
正面からの撃破は絶対不可能、側面後面からでも対戦車ロケット無しには傷一つ付かないMBTと、拳銃の弾程度しか防げない防弾ベストを着用した歩兵。
自分がゲリラの立場であれば、間違っても戦車を相手にしたいとは思わないだろう。
ましてや普通の陸軍であれば戦車を単独で行動させる事は無い、つまり側面や後ろに回りこむなどまず不可能なのである。
MBTの運用において、歩兵を随伴させずに戦車のみで行動させる陸軍は今や何処にも存在しない。
これは前述したイスラエル軍機甲部隊の全滅した原因が、随伴歩兵を付けなかった結果であった事も影響している。
そもそも戦車を単独で行動させるような戦術を取っていたのは当時のイスラエル軍くらいで、今でもそのような戦術を取っているとすれば指揮官は歴史に学ばない無能と言えるだろう。
特殊部隊が携帯爆薬や対戦車ロケットで戦車を撃破する、そんな状況は正規軍相手には起こりえないのだ。
ならば対戦車ミサイルを据付けて遠方から撃てば良いのだろうか?
発射した次の瞬間には、ロケットモーターの煙と炎によって発射位置は即座に発見され、その後にはマッハ6の速度で戦車砲弾が飛翔してくるだろう。
対戦車ミサイルの弾頭は、虚しく戦車の前面装甲表面を焦がすだけかもしれない。
たとえ砲弾から逃げ遂せたとしても、時速70㎞で戦車と歩兵を乗せた装甲車が追撃してくるだろう。
逃げようとした先には支援要請を受けた砲兵の榴弾が降り注ぐかもしれない。
かくしてゲリラは追い詰められ、追撃者達は血の代価を払う事無く任務を遂行するのである。
もしMBTを投入しなかったとすれば、恐らくは大きな犠牲を追撃者が払う事になるのは容易に予想出来る。
1996年に韓国に侵入した北朝鮮ゲリラの掃討作戦では、15人のゲリラに対し韓国側は17人もの犠牲を出している。
これから先我が国で本格的なゲリコマの侵入が発生すれば、犠牲は兵士だけに留まらないだろう。
予算難を理由に軍備を減らす、その代償は現場の兵士の血、あるいは我々国民の血によって支払われる事になるのだ。


これらの戦車不要論は、往々にしてMBTを対戦車”専用”兵器としてしか認識出来ない故に発生していると思われる。
かつて島国に戦車は不要という意見が存在したが、それに対する答えとして、我が方に戦車が無ければ敵も戦車を揚陸させる必要が無くなる、というのが常套句であった。
ここで戦車は戦車しか相手にしないという誤解が生まれたのだろうが、戦車の生い立ちと歴史を知っていればそのような考えは的外れと容易に判る筈である。
残念な事に、我が国では軍事評論家の肩書きを持つ者でさえこの様な浅薄な考えを持つ者が多い。
所謂ミリタリー雑誌でも素人レベルの記事が多数あり、この国の軍事に対する無知を象徴するものがある。
平和の名の元に軍事を学ぶ事その物がタブー視され、軍事学という学問を大学から排斥した結果、他国であれば肩書きすら疑われるような自称”専門家”が大手を振って無知を振り撒いているのである。
昨年末の財務省防衛庁の予算折衝の中では、その無知によるツケが大きく出たと言っても良いだろう。
仮にも大学出のエリート官僚があの程度のレベルにまで堕したその事実が、この国の軍事無知の根の深さを物語っている。

*1:MainBattleTank 主力戦車の略語

*2:無限軌道いわゆるキャタピラーを用いた走行方式

*3:ここではMBT以外の装甲を施された車両を指す

*4:装甲の施されていないトラックなどを指す

*5:一般にMBT以外の装甲車は良くて35㎜機関砲程度にしか耐えられない