「たかなみ」型汎用護衛艦

「むらさめ」型汎用護衛艦の拡大強化版として、平成10年度計画より建造開始。
DD110「たかなみ」は平成15年3月12日に竣工、以下DD111「おおなみ」DD112「まきなみ」が現在までに竣工している。
DD113「さざなみ」DD114「すずなみ」はそれぞれ、平成17年と18年までの竣工が予定されている。

船体デザインは「むらさめ」型と変わらないが、水上打撃力強化の為に各種装備や配置が変更されている。
主砲は「こんごう」型と同じOTOラメラ製の54口径127㎜速射砲に変更、また「むらさめ」型では分離搭載していた対空ミサイル「シースパロー」と対潜ロケット「アスロック」の発射機を、「Mk.41VLS」垂直発射機*132セルに統合して前部甲板に配置している。
一方、「90式SSM4連装発射筒」*2や「3連装短魚雷発射管」「20㎜多銃身機関砲」*3の配置は変わっていない。
後部甲板のヘリ格納庫は新型の対潜哨戒ヘリ「SH-60K」搭載の為に拡大され、移送レールの本数が2条に増やされている。

動力はCOGAG方式のガスタービン4基2軸で60,000psに達し、速力は30ktを発揮する。
排水量は「むらさめ」型より200t増しの4600tで、乗員数は僅かに5人増えただけで170人となっている。

「むらさめ」型と「たかなみ」型はヘリを搭載可能で尚且つ高い水上打撃力を有する事から、汎用護衛艦という位置付けがなされている。
また、「こんごう」型程ではないが防空能力が強化されていることからミニイージス*4と呼称する向きもある。
ただ、イージス艦に搭載される「イージスシステム」*5は米海軍で採用されているシステムの固有名詞であり、国産のFCS-3」FCS-2」を搭載している「たかなみ」型は当然当てはまらない。
また特別に防空能力が高い訳でもなく、比喩としてもミニイージスという呼称は余り適切とは言えない。
あくまで従来の護衛艦よりも強化されているに過ぎないのである。


さて、今回の被災地への派遣についてであるが、どういう訳かこれを非難する方々がおられる。
津波のあった被災地に「たかなみ」を派遣、という冗談話ではなくてだ。

自衛隊ではなく海上保安庁を派遣すべき??? | 週刊オブイェクトはSeesaaに移転しました。(2005年3月24日) - 楽天ブログ

ここにJSF氏が詳しく書かれておられるが、つまり彼の国の方にとっては海外派遣への地均しと映っているのだそうだ。
国内に目を向けてみると、海保を派遣せよ、罪滅ぼしに過労死手前まで働けなどと言う者が居る。
今回被災地に向かった護衛艦イラクでの任務を終え帰国する途中だったのである。
たまたま被災地に一番近い位置に居た為にそのまま被災地での援助活動に向かったのだ。
労いの言葉すら掛けずに口汚く罵る彼らにとっては、自衛官は同じ日本国籍の人間とは思えないらしい。
イデオロギーに染まった見方しか出来ない方々へは、もはや怒りさえ通り越して憐れみの感さえ覚える。
こう穿った見方しか出来ない方々には、中越地震の時に某所で見たこの言葉を送りたい。
「しない善よりする偽善」
2004-12-28 - はてな義援金窓口

*1:ミサイルの弾体を一度垂直方向に打ち上げてから目標に向かわせる方式の発射装置:発射装置を目標に向ける必要が無いので発射時間のロスを抑える事が可能

*2:対艦誘導ミサイルの発射装置:発射時に緊急を要する事がないのでVLS方式は使われていない

*3:CIWS:いわゆるバルカンファランクスで艦の間近まで接近してきた対艦ミサイルなどを自動で迎撃するシステム一式

*4:小説「亡国のイージス」によって広められたと推測される

*5:高性能のレーダーと多数の目標を同時に処理し脅威度を判別して自動で迎撃するシステム一式の総称