トマホーク

正式名称「BGM-109」
1983年より実戦配備、1991年湾岸戦争にて初使用。
開発製作はレイセオン社が担当。
目標地点までの誘導にはGPSと「TERCOM」地形照合誘導*1が用いられ、終末誘導には「DSMAC」風景照合誘導*2が使われている。これによって着弾誤差は10mに抑えられている。
目標までは低空を地形に沿って時速約800㎞/hで飛行するため、敵に発見してから迎撃するまでの猶予を与えていない。
本体構造は発射プラットフォームや攻撃目標に合わせて燃料タンク、誘導装置、弾頭部の組み換えが可能となっている。
プラットフォームは水上艦艇、潜水艦、地上移動式の3種類。弾頭部は通常弾頭、クラスタ*3、時限信管、軽量弾頭、そして核弾頭である。このうち核弾頭搭載型はINF条約等によって全てが退役済みである。


低空を高速で飛行する「トマホーク」の迎撃は困難とされているが、早期に発見して迎撃体制をとれば撃墜も不可能ではない。
そこで現在、飛行速度を音速以上にまで引き上げた「タクティカル・トマホーク」の開発が進められている。
これによって、更に「トマホーク」の能力は上がる。
しかし同時に値段も高騰する事が予想されるため、全ての艦艇に搭載された「トマホーク」を更新するのは難しいと思われる。
実際、精密誘導兵器の主力は通常爆弾にGPS誘導装置を付けた「JDAM」*4など、安価な物が占めるようになってきている。
ただ無人攻撃機などの実用化に目処が立たない以上、当面「トマホーク」はスタンドオフ兵器*5としての地位を保つと思われる。

*1:レーダーによって予め入力された地形と照合して誤差の分を修正する誘導方式

*2:目標周辺状況の情報をレーダーやカメラを通じて目視無いしコンピュータ処理で照合する誘導方式

*3:集束爆弾:多数の子弾を束ねたもの

*4:誘導爆弾:従来方式と違い母機によるレーザー照射誘導を必要とせず悪天候下でも運用可能

*5:敵防空網の射程外から攻撃の可能な兵器