AIのあるP-1
セイレーンの次はAIか、とか言わずに生暖かい目で見守ってくだせい。
そういやセイレーンて誰が言い出したんじゃろ。
腹の中味は真っ黒?
P-1の搭載機材
輸送機のC-2と違って哨戒機であるP-1は中味ギッシリ、となれば中味がどんなもんか気になるのがマニアの性というもの。
しかしそう簡単に判るなら苦労はしない、ましてや機密と隣り合わせの戦闘関係機材ともなれば具体的な性能はまず公開されることはない。
じゃぁせめて名前だけでもということで調べてみると、嬉しい事にこの国は公開情報が豊富なだけあって幾つも出てくる。
まず光波装置(FLIR)は富士通のHAQ-2で、17年度の契約にて1セット3億2875万5千円で調達されている。
ちなみに番号一つ前のHAQ-1はUS-2用に赤外線暗視装置という名称で調達されている。
次は日本無線のソノブイ受信装置HRQ-1、やはり17年度の契約価格は1セット2億7510万円。
データリンク連接装置HSA-108は川崎重工製、17年度契約価格は1セット4億4730万円、ちなみにLink16対応である。
CAEのライセンスをメルコが取ったことで外国製かと思われたMADは意外や国産のHSQ-102で三菱電機製、17年度契約価格は2セット2億7029万1千円。
やはり番号戻ってHSQ-101もあったが、これはP-2Jに搭載されていたもの。
外部パイロンの下に付ける武装ラックはBRU-47/AのMod2で、こいつはF-2にも使われてる1000〜2000ポンド対応の奴。
APUはハニウェルの131-9Jで、丸紅エアロスペース経由の調達価格は1台4166万1900円。
ちなみに131-9は川重がRRSPでタービンブレードと冷却吸気口を担当しており、737やA320級の機体に搭載されている。
なお酸素系統装置とスーパーバード衛星通信装置とレーダーシステムの固有名称は今のところ無い模様。
以下出典
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/y3/nyuusatsu/K-19-1550-0048.pdf
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/y3/nyuusatsu/K-19-4450-0049.pdf
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/y3/nyuusatsu/K-19-1550-0050.pdf
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/y3/nyuusatsu/K-19-1550-0051.pdf
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/y3/nyuusatsu/K-19-1550-0052.pdf
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/y3/nyuusatsu/K-19-1550-0053.pdf
http://www.mod.go.jp/msdf/bukei/t2/nyuusatsu/K-19-6100-0062.pdf
http://www.mod.go.jp/j/info/chotatsu/minaoshi/pdf/koueki/h17-mod-02.pdf
http://www.mod.go.jp/j/info/chotatsu/minaoshi/pdf/koueki/h17-mod-03.pdf
でレーダーシステムについては技本50年史に概要発見。
http://www.mod.go.jp/trdi/infomation/50years/pdf/TRDI50_06.pdf
まず要素研究で以下の特徴を持つ研究試作品を完成させている。
・単一モジュールにて2波同時送受信可能なXバンドAESA方式
・アダプティブDPCAによる微速小目標フィルタリング技術
・高精度スキャン間積分処理による静止小目標フィルタリング技術
・冷媒冷却方式
この成果に加えて、P-1用AESAでは以下の特徴なり機能なりを加えることが計画されていた模様。
・気象レーダー機能
・対水上捜索機能
・対空機能
・ISAR及びSAR機能
・同時複数運用機能
実際に何処まで盛り込めたのかは不明だが、既にこの時点で固定翼哨戒機のレーダーに必要な要素を見据えていたことは確かであろう。
P-8Aに搭載を予定しているAN/APY-10も機能に関してはほぼ同様のものを有しており、対空目標対応の有無を除けば両者が目標としているものは同じである。
http://www.raytheon.com/products/stellent/groups/sas/documents/asset/apy10_ds.pdf
てな訳でセンサー類をほぼ全て国産で固めてるP-1であるが、センサーで得た情報を処理する方についてはTACCOオペレーションにSH-60Kと同様の知識データベース技術を適用しているくらいしか判っていない。
知識データベース技術とは早い話がAIなのだが、イメージとしてはベテランTACCOオペレータが傍に立ってアシストするようなものである。
とはいえ基本的に従来のTACCOステーションとインターフェイスは変わらないであろうし、表示されるものも劇的な変化は考えられない。
以上のように一見すると地味な新戦術指揮システムではあるが、その位置づけはP-3Cのソノブイ解析システムやイージスのC&Dに匹敵する革新的技術となりうる。
P-3Cやイージスが画期的だったのは幾つかのデータ処理を大幅に自動化したことであり、TACCOオペレーションの自動化ともいえる新戦術指揮システムの発想はP-3Cの延長上にあり、またイージスC&Dと良く似ている。
なのでAIとだけ聞いて電子の妖精みたいなものを思い浮かべると余りの味気無さに落胆するし、罷り間違ってAIを可視化してもガタイの良い兄ちゃんが出てくるのがオチだろう。
まぁネタとしてはエンジン音→セイレーンよりは広がりそうなので、誰か同人誌でも出さないかな?
でもってまたか、という感じだがP-8AのTACCOシステムは特に自動化を謳っているということも無い。
それどころかオープンアーキテクチャと拡張性と共通インターフェイスでお茶を濁しているように見えるのは、まぁ気のせいだと思うがそれでも今一特徴が見えてこない。
TACCOとは別にP-1にはマルチスタティック音響システムなるものが採用されているが、こっちは恐らくバイスタティックソノブイと呼ばれていた研究の成果であろうと思われる。
恐るべき価格破壊
前回P-1とP-8AのPCU比較を初年度調達単価ベースでしたが、初年度はライン構築費用などが入っており平均価格よりも高くなる傾向がある。
当然ながら平均量産単価はそれよりもっと安くなるのが当たり前なのだが、それに関して海自がある意味ふざけ過ぎの見積もりをしていた。
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/about/mame/budget/3.pdf
70機調達の場合で平均量産単価は124億円、だそうである。
既に十分お得な初年度単価より更に46億円も安い、これがどういうことか判るだろうか。
PCUに直してP-8Aのそれと比較すると、実に2倍前後もの差があるのだ。
エンジンまで含めて新規開発で更に上記の様な豪華機材満載、それが既存エアフレーム流用機のおよそ半額というのだから・・・
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っていうか124億円ってあんた、F-2と殆ど変わらんじゃないか。
重量ネタ再び
前回はアルミリチウム合金じゃないかってことになったP-1/C-2の機体構造だが、構造軽量化技術は何も素材だけに限らないのであった。
http://www.nedo.go.jp/iinkai/hyouka/houkoku/13h/12.pdf
http://www.nedo.go.jp/iinkai/kenkyuu/bunkakai/16h/jigo/6/1/5-1.pdf
http://www.nedo.go.jp/iinkai/kenkyuu/bunkakai/16h/jigo/6/1/5-2.pdf
http://www.nedo.go.jp/iinkai/kenkyuu/bunkakai/16h/jigo/6/1/6.pdf
NEDOの革新的軽量構造設計製造基盤技術開発に関する資料であるが、中間報告でC-X/P-Xへの言及があった。
注目すべきは各要素を担当しているメーカーの名前、特に川崎重工と富士重工だ。
この2社はP-1/C-2でもメインコンポーネットの製造を担当しているが、その担当部位と上記研究の担当要素が不思議と一致するのだ。
川崎重工は機首シェル構造技術を担当しているが、P-1/C-2では機首部分を製造している。
富士重工は主翼構造技術の担当だが、やはりP-1/C-2では翼構造全般を製造している。
もう一つ注目すべき点が技術実証フェーズの完了時期である。
H14〜15年はP-1/C-2の設計作業半ばで、強度試験用01号機の製造開始時期でもあるのだ。
などと言いつつ事後評価で全くC-X/P-Xに触れてないことは謎である。